パラリーガルとは

一言でいうと

 一言でいうと、弁護士と同等又は限りなく近い法律知識を備えて弁護士の業務をサポートする専門職員のことをいいます。

事務員とは違う

 パラリーガルも、他の事務員と同じように、来客対応や電話対応、依頼者との定期連絡、記録の整理・保存、弁護士のスケジュール管理、書面の校閲を行います。

 パラリーガルが他の事務員と決定的に違うのは、上記業務に加えて、弁護士の本業である起案の準備を行う点にあります。

 具体的には、判例・裁判例検索、相手方との連絡文書や契約書、示談書、申立書、訴状等裁判所への提出書面の起案を行います。 

 もちろん、すべての書面を起案する訳ではありません。
 例えば、訴状・答弁書提出以降の準備書面については、流石に弁護士が起案します。ここまでパラリーガルがやってしまうと弁護士は必要なくなりますしね。

 ですが、訴状・答弁書以降の書面についても、起案に必要な証拠収集や判例・裁判例の検索、起案後の校閲などを行うことになるため、最後まで起案と関わることになります。
 なお、校閲については、パラリーガル以外の事務員(以下「一般事務員」といいます。)も行いますが、一般事務員の場合には、誤記や脱字など形式的なものに限定されます。
 
 この点、パラリーガルの場合、深い法律知識があるため、引用条文の引用裁判例・判例など書面の内容についても校閲することになります。
 
 パラリーガルの中には、司法試験の勉強をしている方や他の法律資格を保有している方もいるため、条文や判例・裁判例だけでなく、ときに要件事実についても詳しく、校閲のレベルは一般事務員のソレとは格段に違ってきます。
 そのため、パラリーガルの付いた弁護士が起案した書面の精度は、格段に高いものになります。
 
 とはいえ、常に揚げ足をとられる恐れがあるため、パラリーガルの校閲を嫌がる弁護士もいます。なので、校閲はほどほどが良かったりします。

パラリーガルはほとんどいない

 海外ドラマ「スーツ」などで少しは認知されたパラリーガルですが、実際のところ、上記のような能力を備えたパラリーガルはほとんどいません

 法律事務所で働く事務員のほとんどは、上記の一般事務員です。

 また、パラリーガルの能力・スキルを持っている方は、大体数年で勉強して別の資格をとって転職される方が多いからです(笑)。
 そこまで有能なら、あえて弁護士に仕える必要はないからかもしれません。
 
 個人的に思う決定的な理由は、パラリーガルも弁護士からすれば、一般事務員と同格であり、賃金等待遇面も一般事務員とほとんど差がないことにあるからなのかもしれませんね。

パラリーガルになるために

 特定の資格は必要ありません
 が、入所後は、積極的に法律の勉強をすることがマストになります。
 
 では、日本の約1900本もある法律のうち、どの法律科目の勉強が必要になるかといえば、やはり「民法」これ一択につきると思います。
 条文も覚えることも多いので、何かの資格の勉強と一緒に勉強するのがよいと思います。
 
 具体的には、資格の登竜門とされる宅建士から始めるといいかもしれません。民法のイロハを学ぶことが出来ますし、勉強した知識は、自分のためにもなります。
 サイアク、法律事務所で働くことが合わない場合に転職に使うこともできますしね。
 宅建士を取れたら、次は行政書士をお勧めいたします。宅建士よりも民法を深く学ぶことができ、行政法、会社法、刑法など法律事務所でも頻繁に使う法律を学ぶことが出来るからです。
 
 行政書士以降は、もはや独立できるレベルの高度な専門知識をえることになるので、個々人がどの専門分野を極めたいかによって選択すると良いのかなぁと思います。

まとめ

 ここまでパラリーガルについて述べてきましたが、パラリーガル自体は法律の勉強が好きで、ムカつく弁護士にも笑顔で対応できる程度の寛容さがあれば誰でもなれる職業だと思います。
 
 もっとも、パラリーガルは、パラリーガルだけで終わるべき職業ではないとも思います。
 その能力・スキルがあれば、その先の弁護士や司法書士など高度な法律専門職を狙うことができるようになると思うからです。

 パラリーガルになりたいと思っている方、今パラリーガルである方は、その先も見据えて勉強していくことが大切だと思います。