- 2023年1月26日
- 2023年1月25日
大成観光事件 最高裁昭和57年4月13日第三小法廷判決(就業時間中の組合活動)
本判決の意義は、伊藤正巳裁判官の補足意見において、就業時間中の組合活動であったとしても、職務の性質、内容、組合活動の態様などから労働者の職務専念義務と両立し得るといえる場合には、正当な組合活動にあたる可能性があると判断した点にあります。
本判決の意義は、伊藤正巳裁判官の補足意見において、就業時間中の組合活動であったとしても、職務の性質、内容、組合活動の態様などから労働者の職務専念義務と両立し得るといえる場合には、正当な組合活動にあたる可能性があると判断した点にあります。
本判決の意義は、使用者には施設管理権が認められることから、使用者の許諾なしにビラ貼りなどの組合活動を行うことは、施設の利用許諾をしないことが(施設管理権の)権利濫用と認められるような特段の事情のない限り、正当な組合活動とは認められないと判断した点にあります。
本判決の意義は、労働協約は書面で作成した上で、署名又は記名押印をしない限り、規範的効力が認められないと判断した点にあります。本件では、労働協約について合意が成立していましたが、協定書など書面を作成していなかったため、労働協約の規範的効力は否定されることになりました。
本判決の意義は、労働協約の不利益変更は、改訂する労働協約の締結の経緯や会社の経営状態、当該労働協約で定められた基準(本件では定年年齢や退職金の支給基準)が契約全体として合理的といえる場合には、労働協約の不利益変更は適法との判断をした点にあります。
本判決の意義は、労組法17条規定の一般的拘束力により、原則として未組織労働者にも労働協約の規範的効力は及ぶが、適用される労働協約が未組織労働者にとって著しく不合理といえる特段の事情がある場合には、当該労働協約の規範的効力は当該未組織労働者には及ばないと判断した点にあります。
本判決の意義は、労働協約が失効したとしても(有効期間は最長3年です)、当該労働協約で定められた特定の事項については、就業規則などの補充規範がない限り、これまで適用してきた労働協約により労働契約を規律すると判断した点にあります。
本判決の意義は、本来争議行為(ストライキ)は昇給や賞与の支給など労働者の経済的地位の向上を目指して行われるものであるから、当該目的と関係のない政治ストを目的として行う争議行為は違法であると判断した点にあります。
本判決の意義は、争議行為(ストライキ)の本質は、労働者の労務提供義務の不履行にあることから、説得活動の範囲を超えて、使用者の財産を排他的に占有することは違法な争議行為にあたり、認められないと判断した点にあります。
本判決は、労働協約に内在する、相対的平和義務に違反して争議行為を行ったとしても、債務不履行の問題が生じるに過ぎず、労働協約の債務不履行を理由に直ちに制裁罰となる懲戒処分を行うことは出来ないと判断しました。
本判決の意義は、言論による説得など平和的な説得を超えた態様で行われた争議行為は、違法性が阻却されず、当該争議行為を行った組合員らに対して、使用者は不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができると判断した点にあります。
本判決は賃金全額払いの原則との関係でストライキ期間中の賃金に家族手当が含まれるかが問題となりましたが、労働との関怪が薄くても、家族手当も含めてストライキ期間中の賃金カットの範囲に家族手当も含めることはを適法であると判断しました。
本判決は、ストライキ不参加者に対する賃金の支払請求について、不参加者の労働の提供を受けなかったとしても、民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」に当たらないとして同請求を否定し、また同様の構成により休業手当についても請求を否定しました。