- 2023年1月19日
- 2023年1月25日
御國ハイヤー事件 最高裁平成4年10月2日第二小法廷判決(違法な争議行為)
本判決の意義は、争議行為(ストライキ)の本質は、労働者の労務提供義務の不履行にあることから、説得活動の範囲を超えて、使用者の財産を排他的に占有することは違法な争議行為にあたり、認められないと判断した点にあります。
本判決の意義は、争議行為(ストライキ)の本質は、労働者の労務提供義務の不履行にあることから、説得活動の範囲を超えて、使用者の財産を排他的に占有することは違法な争議行為にあたり、認められないと判断した点にあります。
本判決は、労働協約に内在する、相対的平和義務に違反して争議行為を行ったとしても、債務不履行の問題が生じるに過ぎず、労働協約の債務不履行を理由に直ちに制裁罰となる懲戒処分を行うことは出来ないと判断しました。
本判決の意義は、言論による説得など平和的な説得を超えた態様で行われた争議行為は、違法性が阻却されず、当該争議行為を行った組合員らに対して、使用者は不法行為に基づく損害賠償請求を行うことができると判断した点にあります。
本判決は賃金全額払いの原則との関係でストライキ期間中の賃金に家族手当が含まれるかが問題となりましたが、労働との関怪が薄くても、家族手当も含めてストライキ期間中の賃金カットの範囲に家族手当も含めることはを適法であると判断しました。
本判決は、ストライキ不参加者に対する賃金の支払請求について、不参加者の労働の提供を受けなかったとしても、民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」に当たらないとして同請求を否定し、また同様の構成により休業手当についても請求を否定しました。
本判決の意義は、原則として、使用者に争議行為を認めることは出来ないものの、争議行為により労使間の勢力の均衡が破れるほど使用者の受ける打撃が大きいといえる場合には、例外的に、防衛手段としてロックアウトを行うことは相当であると判断した点にあります。
本判決の意義は、正当な組合活動に対して不利益取扱いを行うことは不当労働行為にあたると判断、確認した点にあります。特定の傾向を有することを理由に差別的取扱いを行うことは、労組法7条3号の不当労働行為たる支配介入にあたると判断しています。
本判決の意義は、人事考課について組合員以外の者との間で差別的取扱いがされていると主張する場合に不利益取扱いを受けた側に自己の把握し得る限りで組合員以外の者と能力や勤務実績等において劣らないことを立証すれば足りる、と立証責任を緩和した点にあります。
本判例の意義は、使用者に採用の自由について広い裁量を認め、労組法7条1号は雇入れ段階での黄犬契約(労働組合に加入しないこと等を条件に結ぶ雇用契約のこと)のみを禁止しており、雇入れ段階での不利益取扱いを禁止していないと判断した点にあります。
本判例では、労働組合の団体交渉権の実効性を担保するために、使用者に誠実交渉義務を認めました。具体的には、組合の要求・主張に対する回答やその根拠、反対する場合にはその根拠を示すなど努力義務があると判示しました。
本判決は、使用者の発言がどのような場合に不法労働行為たる支配介入(労組法7条3号)に当たるかについて規範を示し、使用者の発言による組合活動への影響が現実に発生しなくても、一般的に発生する可能性がある場合には支配介入にあたると判断しました。
本判決は、組合による使用者の施設利用について、使用者の施設管理権の権利濫用と認められる特段の事情のない限り、不当労働行為となる支配介入には当たらないと判断し、施設管理について使用者に一定の裁量がある旨、判断しました。