- 2023年4月1日
新日本製鐵(日鐵運輸第2)事件 最高裁平成15年4月18日第二小法廷判決(出向の適法性)
本判決の意義は、使用者に出向命令権が認められる場合にも、①業務上の必要性、②出向対象者の人選の合理性、③労働者の受ける不利益の程度、④出向命令発出までの手続の相当性の4点を基準として権利濫用の該当性を判断した点にあります。
本判決の意義は、使用者に出向命令権が認められる場合にも、①業務上の必要性、②出向対象者の人選の合理性、③労働者の受ける不利益の程度、④出向命令発出までの手続の相当性の4点を基準として権利濫用の該当性を判断した点にあります。
本判決の意義は、起訴休職処分が適法といえるためには、職務の性質、公訴事実の内容、身柄拘束の有無などを諸般の事情に照らし、使用者の社会的信用や職場の秩序が害される場合でなければならない等と判断した点にあります。
本判決の意義は、事業譲渡契約は、債権行為であり、譲渡会社の労働者の雇用関係を譲受会社が当然に承継するということはできない、と判断した点にあります。一方で、事業譲渡契約に伴う雇用関係が承継される例外的な場面についても判示されている点が特徴です。本裁判例より、事業譲渡契約に伴う雇用関係の変容についてご確認下さい。
本判決の意義は、親会社が、事実上、完全子会社の労働組合員を排斥するという違法な目的を隠して行う当該完全子会社の解散は偽装解散にあたるので、これは親会社の法人格の濫用であり、親会社に対して、解散させられた子会社に勤めていた労働者たちは、雇用契約上の責任を追及できると判断した点にあります。
本判決の意義は、会社分割にあたり、前提として承継される労働者の保護のため、当該労働者と協議を行うことが必要であり、これがない場合には、当該労働者は承継会社への労働関係の承継に対して異議申し立てを行うことができること、また、承継される労働者の代表者との協議や説明がないことにより上記5条協議の趣旨を没却するといえる場合には、5条協議を欠いたものと同視できると判断した点にあります。
Xの退職願を合意解約と解し、合意解約は使用者の承諾があるまでは撤回ができると解されるところ、本件では、人事に関する最終決裁権者が退職願を受理した時点で承諾があったものといえ、合意解約を有効と判断しました。本判決の意義は、退職願の撤回が有効と認められる判断時点を明確にした点にあります。
本判決の意義は、不法行為を形成する退職勧奨に当たるかは、退職勧奨を受けた者の、退職するのかどうかについて自由な意思形成を妨げたといえるか否かによって判断するとの基準を示した点にあります。
本判決の意義は、予告期間を設けないで解雇通知を行った場合、当該解雇通知が即時解雇の趣旨でない限り、予告期間の30日(労基法20条)を経過すれば解雇することができると判断した点にあります。
本判決の意義は、使用者による打切補償の適用について、労働者が労災保険から療養補償給付を受けて3年以上経過した場合にも、使用者が平均賃金1200日分を支払うことにより当該労働者を解雇できると判断した点にあります。
本判決の意義は、解雇権を行使は他の手段や諸要素を考慮してもやむを得ないといえる事情がない限り解雇権の濫用となると判断した点にあります。
本判決の意義は、能力不足を理由に解雇する場合には、客観的合理的な理由が必要であり、客観的合理的な理由の有無は、①能力不足が重大であるか、②改善の機会を与えても改善されないか、③将来的な改善の見込みがあるかなどの事情を総合的に考慮して決定しなければならないと判断した点にあります。
本判決の意義は、解雇は労働者の生活に重大な不利益を与えることから、使用者による解雇の自由は一定の制約があるとし、整理解雇が解雇権の濫用とならず適法といえるためには、①人身削減の必要性、②解雇回避努力義務を尽くしたこと、③解雇対象者選定の合理性の3つの要件を充足することが必要と判断した点にあります。